ちょっと前のことですが、6月28日に和歌山へレクチャーに行きました。
10年ぶりに同い年で友人である河崎昌之さんから連絡があり、レクチャーを依頼されました。SCI-Arcに留学中に山本理顕さんのところでアルバイトをしていたとき、スタッフとして活躍されていました。現在彼は、和歌山大学地域共同研究センター助教授という役職です。助教授といっても学生と接するわけではなく、地域の民間企業や産業機関と、大学が共同研究を行う仕事をしています。日本では馴染みがないかも知れませんが、アメリカでは一般的です。アメリカの学術機関はより社会と密着しており、民間企業が投資できないような先駆的研究などを大学が受けおっていたり、また、逆に大学で得られた研究成果を民間機関が商品化して経済にのせていくような役割を果たしています。日本では学と民は、まだまだ風通しの悪い状態です。少子化で大学の存在価値を問われるというネガティブな時代背景もありますが、その負の状況が新しい可能性を切り開いていくきっかけになると思います。河崎さんには是非、その分野でリーダーシップをとってもらいたいと思っています。
ところで、なぜ私がレクチャーに招かれたかというお話ですが、佐賀の建具屋ユニット「むっく」と共同で建てた「兵庫町の住宅」の記事を、日経アーキテクチャーで見られたそうです。それをきっかけに当事務所のホームページを見て、佐賀の地場企業が開発した間伐集成材を利用して建てた「唐津山・積み木の家」と「姪浜・積み木の家」に興味をひかれたそうです。またしてもネット環境が疎遠であった人と人を結びつけました。レクチャーでは、どのような取り組みをして、地場企業との関わりにより「新しい建築のつくり方」を模索したかお話ししました。
その晩は、参加者との懇親会の後、河崎さんと久しぶりに酒を酌み交わしました。昔話や近況報告で盛り上がり、お互いに刺激を受け合った素晴らしい再会となりました。一泊して、次の日は、これまた同世代の下吹越武人さんの「和歌の浦アートキューブ」を見に行きました。久々に感銘を受けた力作でした。構造設計は、当事務所の関東プロジェクトをお願いしている神谷優美子さんも関わってます。