このブログでも度々紹介していました「アイランドシティ・フォリー」のお披露目会がありました。
フォリーは2006年に「伊東建築塾」と題し、
伊東豊雄さんの主導のもと、九州大学が主催した学生ワークショップで選ばれた案を、実際に福岡市が建てるというプロジェクトでした。
学生の案が実際に建つというのは、世界規模でも希なことだと思います。
伊東さんは世界的にも著名な建築家ですが、一度も常勤としての教授職に就いたことがありません。もちろん沢山のお誘いはあったでしょうが、ワークショップの間何度も「学生や駆け出しの間に、実際に建てるプロセスを経験することが建築家として非常に大事だ」とおっしゃっていました。
おそらく良い建築家は実践の場でしか育たないと考えておられて、敢えて教授職に就かずに、自身のアトリエ事務所で若手建築家を育てているのではないかと勝手に想像しています。
とは言うものの、当然、学生だけでは実際に建てることは出来ませんので、福岡の若手建築家がワークショップでのクリティークから、実際の設計や工事監理まで指導をすることになっています。第1回目は松岡恭子さんで、今回、私が選ばれました。(3回目まで予定していましたが、現在の経済状況から、今回が最後ということになりました)
松岡さんの時に選ばれた学生は、就職を理由に、残念ながらほとんど実施設計や現場監理に参加しなかったと聞いていたので、今回は最後まで参加することも条件のひとつとして選定しました。
選ばれた学生達は、過酷なワークショップで戦い抜き、公共工事として厳しい安全性や耐久性の要求にも前向きに対処し、そして最後まで全てのプロセスに参加しました。
その有志達は、
大西麻貴さん(東京大学)、小川勇樹君(九州大学)、
熊澤智広君(九州大学)、
百田有希君(京都大学)、南方雄貴君(福岡大学)です。すでに国内外で就職していたり、博士課程に進んでいたり、新たな道を歩みはじめていますが、この3年間を見ているだけでも大きく成長しており、伊東さんの言うとおり、この経験は今後、彼らの建築家人生にとってかけがえのないものとなるでしょう。
昨年はクリティークとして参加したDesign Reviewに、今年は伊東豊雄さんが来られるということで、それに合わせて竣工見学会を行いました。
(Design Review 2009の様子、アイランドシティ・ぐりんぐりん にて)
初めて沢山の人が入ったフォリーは、建築空間として生き生きと立ち現れ、学生と共に感動を分かち合いました。
指導という立場でしたが、私自身も非常に貴重な経験をさせて頂き、伊東豊雄さん、九州大学の
末廣香織さん、福岡市、左官職人の
原田進さん、そして関係者の皆様にあらためて感謝致します。
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