「大畠の住宅」の竣工写真を撮影しました。
夏本番の猛暑の中、ナカサ&パートナーズの鳥村さんに、汗だくでふらふらになりながら撮って頂きました。
我々、建築家にとって竣工写真の撮影は、いろいろな意味で気を遣います。竣工写真を撮ることを目的で設計をしているわけではないのですが、きちんとした写真をとることは、建築を学術的に記録する意味で重要であり、引渡し後の建物を次のお客さんにお見せしたり、ホームページなどに掲載したり、今後の営業展開としても重要な役割を果たします。
より良い建築写真を撮りたいわけですが、それには本当に苦労があります。まず天候。日本は四季が豊かですが、その分晴れの日は、全体の三分の一とも言われています。梅雨時などは最悪です。竣工して入居を心待ちにしているお施主さんにご理解を頂きながら、東京や大阪在住のカメラマンのスケジュールをおさえ、天候を気にしながら、自分のスケジュールも調整しないといけません。かなり至難の業です。無事、晴れの日に写真撮影日を迎えるだけでも、本当に苦労します。
そしてカメラマン選び。誰が撮るかによって、全く印象が違います。私はなるべく現物に近く自然な感じで撮って頂く写真が好きですが、そのシンプルなのが一番難しいのです。パースを聞かしたり、照明をつくりこんだりした方が、演出でごまかしが効きます。現在は、鳥村さんと大阪の市川かおりさんにお願いしています。お二人とも自然でありながら、私もどきっとするようなショットを撮ってくれます。こんな見方があるんだと発見させられます。私が設計したものを写真家によって更に違うものへとつくられるような感覚があり、ジャムセッションのような感じがあります。
そして、当日はカメラマンの助手として、スタッフとともに現場で走り回ります。これがかなりの重労働。ガラスを磨いたり、掃除をしたり、家具を動かしたり、建具を開けたり閉めたりと奔走します。全くカメラマン任せの建築家もいますが、私はなるべくカメラマンとコミュニケーションをとるようにしてます。また、写真家としてどのような視点で空間を見るかに興味もあり、それが今後の設計に生かされることもあります。奔走するスタッフにとっても、掃除などをしながら納まりやメンテナンス性などの細かいことから、空間の読み取りなどの大きな視点で再度見直す良い機会になります。
この住宅の建主さんは、本当にご理解のある方で、撮影も楽しみにして頂いていました。車との関係もこの住宅の重要なテーマでしたので、愛車と共に撮影をすることをお願いしておりました。そうしましたところ、いつかいつかと心待ちに、先週からは何度も洗車をして、いつでも良いように準備をして頂いていたようです。本当に有り難いです。夕方にはその愛車を持ち込んで頂き、撮影を行いました。
朝の九時からスタートし、後かたづけを終えたのが夜の九時でした。